にゃんこのページ その6    日本語が分かる?         もどる



  日本語が分かる?


彼は人間の言葉が分かる。

日本語を理解するのだ。
これにはタネも仕掛けもない。

世の中には算数のができる犬とか、
ウマとかいるらしいが、アレはタネも仕掛けも
あると聞いたことがある。

まともな例では飼い主の表情や観客の
雰囲気の差や変化を敏感に察知して
カードを指したり、首を振ったりするという。

これらはりっぱな芸である。

マトモでない例はもちろん手品のたぐいである。

うちのネコは手品でも何でもなく、
もっと原始的だ。

生存本能から来る、きわめて実用的な能力だ。
もちろん、すべての日本語を理解出来るわけもなく
わずかに2つだけである。

「お腹空いた?」
「ご飯食べる?」
この2つだけだ。

呼びかけても、いつもシカトしてくれる彼が、
腹が減っていると、これだけは返事をしてくれる。

どこにいようと、必ずだ。

場所がキッチンである必要はない。
空腹でない時は聞いても反応しない。

「カリカリ、食うか?」と聞いても無視!
牛肉でないと気に入らないのだ。

ちゃんと意味が分かっているのである。
日頃、反応してくれないので、空腹かどうかを
彼に確認するのは容易だ。

魚もあまり好きでない。
好みでないエサをやると不満そうに
こちらを振り返る。

しかし、よく考えると犬などは人間の言うことを
けっこう理解するようだから、この程度は
あまり大したことではないのかもしれない。

いや、もっとよく考えると単なる「パブロフの犬」ならぬ
パブロフのネコなのかもしれぬ。

それでもバカネコを愛するネコバカは今日も
ネコのご機嫌を伺うのだ。

「コロン、ご飯食べる?」



   悟りを求めるネコは
 
彼はネコである。

芸はせぬし、ネズミも捕らぬ。
化け猫でも妖精でもない。
呪文も魔法も使わん。

人面魚でもない。
しかし、そのアタマがヒトの顔に見えるときがある。

ひとの心を見透かしたかのような表情を
浮かべ、じっと見つめられるとドキッとする。

「あわれなやつだな、おまえは」

はるかな高みから、悟りを開いた仙人が
見おろすかのごとく、静かに見つめている。

ネコが魔性の動物とされたのは
中世ヨーロッパであると聞く。
ここはハイテク真っ盛りの日本なのだが。

どこぞの人間の魂でも乗り移ったかのように、
深い表情で見つめられると、どうも落ち着かぬ。

おい、そんな目で見るなよ、怖いぜよ。

おれだって弱みはあるんだよ。
そんな、動物的カンとやらで、
いちいち見すかさなくてもいいだろ。

まだか! まだ見るか。
人間さまをいじめるのか?

にゃろ〜、んなら、くすぐってやる。
ペットのくせに妖術なんぞ使うんじゃねー!
こんにゃろ、こんにゃろ!

かくして集中力を奪われた彼はいつもの家庭的
ネコの表情に戻る、いや、むりやり戻らされるの
であった。

悟りを目指して修行しようと思うネコは
決してウチにくるべきではない。

いまだに悟りを得ぬバカ人間に邪魔されるからだ。

 

 

 

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